事故物件の売却方法

事故物件の売却方法

告知義務を正しく理解することが第一歩

事故物件を売却する際、もっとも重要なのは「告知義務」の正確な理解です。事故物件とは、過去に自殺や他殺、孤独死、火災などの心理的瑕疵があるとされる物件のことで、買主に対してその事実を伝える義務が売主や仲介業者に課せられています。

ただし、すべてのケースで義務が生じるわけではなく、「心理的瑕疵の程度」や「買主が不快に思う可能性の高低」によって判断されるのが実情です。国土交通省が2021年に公表したガイドラインでは、「自然死または日常生活の中での不慮の死」は原則として告知の対象外とされる一方、自殺や他殺などの場合は原則として告知義務があるとされています。

また、告知の対象は「物件そのもの」だけでなく、共用部や敷地内なども含まれるため、マンションのエントランスや敷地内駐車場などで起きた事件も告知対象になることがあります。買主との信頼関係を築くうえでも、告知すべき内容は早い段階で整理しておくことが大切です。

価格設定に工夫を凝らして売却成功を狙う

事故物件は通常の物件と比較して敬遠されやすく、どうしても価格を下げざるを得ないケースが多いです。過去の流通実績をみても、同等条件の物件と比べて2割〜3割ほど価格が下がることが一般的とされています。

ただし、事故から時間が経過している場合や、事故の内容が軽微であると判断される場合は、価格への影響を最小限に抑えられることもあります。物件の魅力を補強するために、リフォームや設備更新を行い、心理的マイナスイメージを払拭する工夫を加えることも効果的です。

また、購入層のターゲットを広げることも一案です。例えば、収益物件としての需要を見込んで、不動産投資家に対して「利回りの高い物件」として提案することで、価格を保ちながら売却につなげる可能性も出てきます。

売却に時間をかけすぎてしまうと、固定資産税や維持費がかさみます。適切な価格設定とターゲット選定で、スムーズな売却を目指すことが重要です。

売却成功の鍵は「適切な仲介業者選び」

事故物件の売却では、取扱経験の豊富な仲介業者を選ぶことが成功への近道となります。心理的瑕疵物件に慣れていない業者では、必要な告知や査定、販売戦略が不十分になり、売却までの時間が長引いたり、買主とのトラブルに発展する可能性も否定できません。

一方で、事故物件の売買に特化した専門業者や実績のある不動産会社であれば、適切なマーケティングや価格交渉のノウハウを持っており、売主の立場に立った売却戦略を提案してくれます。

さらに、最近では事故物件専門の買取業者も増えており、早期売却や現金化を希望する場合にはこうした業者に直接相談するのも一つの手段です。仲介ではなく直接買取となるため価格は抑えられがちですが、スピード重視の場合には有効な選択肢となります。

重要なのは、「事故物件だから仕方がない」とあきらめるのではなく、状況に合った適切なルートを選ぶことです。信頼できるパートナーを見つけて、一緒に最適な売却プランを考えていきましょう。

Share